「財政の崖」議論、ほとんど進展なし=米民主党幹部

「財政の崖」議論、ほとんど進展なし=米民主党幹部


11月25日、米上院民主党ナンバー2のディック・ダービン議員は、減税失効や歳出自動削減が重なる「財政の崖」について、ここ 10日間で議論はほとんど進展していない、との認識を示した。ワシントンの連邦議会議事堂で9日撮影(2012年 ロイター/Larry Downing)

[ワシントン 25日 ロイター] 米上院民主党ナンバー2のディック・ダービン議員は25日、減税失効や歳出自動削減が重なる「財政の崖」について、ここ10日間で議論はほとんど進展していない、との認識を示した。ABCの番組「ディス・ウィーク」で述べた。

同議員は「感謝祭のため議会が休会だったこともあって、残念なことに、この10日間には、たいした進展はみられなかった」としている。

一方で、ダービン議員は、メディケア(高齢者医療保険)について、高所得者の負担増を盛り込んだ改革を受け入れる可能性を示唆した。民主党は伝統的に、メディケア受給に関してミーンズテスト(資力調査)を導入することには反対の立場をとってきた。同議員は、メディケイド(低所得層向け医療保険)についても、改革に前向きな姿勢を示した。

同議員は「メディケアとメディケイドは、プログラム自体を損なうことなしに、有意義な改革を実施することができる」との考えを示した。

「財政の崖」回避に向けた議論では、富裕層増税を主張する民主党と、雇用創出にマイナスだとして反対する共和党が真っ向から対立共和党は逆に、民主党が許容できる以上の福祉支出削減を要求している。

下院と上院で共和党民主党に分かれているのが、問題ともいえそうですが。
■「財政の崖」不回避と米下院議長が指摘、民主党幹部は反論

財政の崖は具体的にはこんな感じらしいですけどね。

情報BOX:米大統領選後に迫る「財政の崖」のポイント


11月2日、6日の米大統領選挙後、議会とホワイトハウスは減税措置の失効と歳出削減の時期が重なる「財政の崖」への対応で厳しい決断を迫られる見通し。米ワシントンのFRB本部で8月撮影(2012年 ロイター/Larry Downing)

[ワシントン 2日 ロイター] 11月6日の米大統領選挙後、議会とホワイトハウスは減税措置の失効と歳出削減の時期が重なる「財政の崖」への対応で厳しい決断を迫られる見通し。

米経済の喫緊の課題は「崖」から転落することなく下りる方法を見出すことだ。この問題をめぐる議会の協議が失敗に終われば、新たなリセッション(景気後退)を招く可能性があるとの専門家の指摘もある。

「財政の崖」問題をめぐる税制面と財政面のポイントは以下の通り。

<税制面>

◎2001年にブッシュ前政権が導入した個人所得税率の引き下げ措置「ブッシュ減税」が2012年12月31日に失効する。オバマ政権は2010年末に同措置を2年間延長した。

議会が手を打たなければ、所得税税率は区分ごとに現行の10、15、25、28、33、35%からそれぞれ15、28、31、36、39.6%に引き上げられる。

◎ブッシュ前大統領と議会が2003年に導入したキャピタルゲインおよび配当に対する減税も2012年末に失効する。高所得者への影響が大きいとされるが、このままではキャピタルゲイン税率は上位4区分で現行の15%から20%に、最低区分で現行ゼロ%から10%に引き上げられる。

また、配当税は現行で上位4区分に一律15%が適用されているが、議会が動かなければ、各区分ごとに所得税の税率が適用される。

オバマ政権の医療制度改革に基づく増税。「財政の崖」問題の進展に関係なく、年収20万ドルを超える単身世帯、同25万ドルを超える家族世帯には新たに3.8%が課税される。

◎富裕層向け代替ミニマム税(AMT)の中間所得層への適用を回避する措置が2011年末に失効。

社会保障年金を積み立てる給与税の税率を6.2%から4.2%に引き下げる措置が今年延長されたが、年末に失効する。

◎遺産税も対応がなければ、控除額500万ドルで35%から、控除額100万ドルで55%に引き上げられる。

<財政面>

◎自動歳出削減。オバマ大統領と議会による連邦政府の債務上限引き上げ合意のもと、2013年1月2日までに財政赤字削減案が合意に至らない場合は連邦予算1兆2000億ドルの自動削減が始まる。

◎議会が延長を繰り返してきた緊急失業給付が年末に失効。

◎古い法律でメディケア(高齢者向け医療保険)の診療報酬が低く抑えられている問題。議会が年末までに解決しなければ、診療報酬が大幅に減り、メディケア患者の診察拒否が懸念される。

<債務上限>
ガイトナー財務長官は大統領選挙後の年末より前に政府債務が上限の16兆4000億ドルに達する可能性を指摘しており、財務省には2013年初めまで上限引き上げの期限を延長する手段があると述べた。ただ、アナリストはこうした措置は来年2月までしかもたないと予想する。

何とかしてほしいですけどね。