「中国景気回復」は真っ赤な嘘 モノが動かずなぜ生産や消費が増えるのか(産経新聞)


データ:CEIC(写真:夕刊フジ

 【お金は知っている】中国政府は11月に入って「経済の持ち直し」を示す指標を次から次へと発表した。もとより、中国の経済データは国内総生産(GDP)を始め、多くが信憑性に欠けることで定評がある。14日に終わった第18回共産党全国大会に合わせて、大本営発表を通じて「景気好転」を演出していると疑うべきだろう。

 そこで、筆者が作成したのがグラフである。データは鉄道貨物輸送量と銀行による中長期融資を採用した。というのは、10月25日の本欄で紹介したように、李克強副首相が以前、米国の駐中国大使に向かって、中国のGDP統計は人為(MAN−MADE)で信頼できないと明言し、電力消費、鉄道貨物輸送量と銀行融資の3つの指標をもとに実際の経済成長速度を測定する、と打ち明けた。「重量をもとに運賃を計算する鉄道貨物量はかなり正しい」「銀行融資実行額も支払い利息を計算するために正確」と、両データは李氏お墨付きである。

 モノの動きを反映する鉄道貨物は6月以降、マイナスの伸びが続き、10月は9月よりさらに悪化している。銀行の中長期融資は企業の設備投資や不動産開発を反映するが、10年初めの不動産バブルのピーク時以降、増加率が鈍化したまま、最近では底バイの状態。他方、通常前年比10%台の増加にとどまる短期資金の融資は、最近では20%台の高い伸びが続いている。企業などの資金繰りが苦しくなっているのだ。

 中国の内需の低迷は輸入減少にも表れており、日本からの輸入は10月、前年比10%以上も減った。尖閣諸島国有化に反発した党主導の反日デモ日本製品不買が影響した面もあるだろうが、実は輸入減は対日に限らない。中国経済にとって不可欠な機械・電気設備の日本からの輸入は9月、同12%減だったが、欧州連合(EU)からは同15%減ともっと落ち込んでいる。世界の工場、中国の景気の低迷は極めて深刻だ。

 にもかかわらず、日本などのメディアが中国景気の「明るい兆し」を報じるのは、大本営発表のデータを丸のみするからだ。中国国家統計局が9日発表した10月の鉱工業生産は前年比9・6%増、小売売上高は同14・5%増とめざましく回復し、消費者物価指数は同1・7%増とインフレは抑制されている。何とも見事で理想的な景気回復ではないか。

 だが、頭を冷やして考えてみればわかる。

 これらの数値は前年比マイナスが続く鉄道貨物輸送量とは真逆である。モノが全然動いていないのに、どうして生産も消費も大幅に増えるのか。

 国家統計局は、共産党大会で10年間の「高度成長」実績を誇る胡錦濤総書記や温家宝首相の意をくんで、都合のよい数値をはじき出したに違いない。汚職・腐敗が蔓延し、富の格差が絶望的にまで開いている。その政権の結末が大不況と認めるなら、胡錦濤政権の大失敗はなおさら明白だ。さらに党独裁体制の正当性は吹き飛んでしまう。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

Market Hackさん
中国のGDP成長率の数字を、アメリカのマスコミは全然信用していない(英語動画あり)
で言っていた通りですね(英語は聞き取れてないですが)。上の発言はそんなこと喋るもんかなと思ったのですが、Wikileaksからのものだそうで、なっとくしました。この記事だと電力消費には触れていませんが、リンク先によると「中国の場合、電力消費量の7割は工業向け」だそうで、それで景気の指標に使えるという事らしいです。動画中ではわずかに下がり続けるグラフが出てきますが。

まぁおそらく李克強が副首相に決定したので、この産経新聞の記事が書かれたんでしょう。Market Hackさんによると李克強副首相は、「徹底的に数字を追求するテクノクラートとして欧米では認知されている人です」との事です。